「本を読む子」ほど脳内ネットワークは伸びる」
・・・脳科学最前線として、子どもに関する話題と脳の発達の関係について、最新の研究知見を紹介します。まず、取り上げるのは、読書習慣と脳形態の関係です。「子どもに読み聞かせをしましよう」「子どもを読書好きにしましよう」といわれます。本を読む習慣で、豊富な知識とともに豊かな感性が育ち、子どもの精神面や知能発達に良い効果をもたらすことはよく知られていますが、脳科学的にはどんな効果があるのでしょうか。読書を習慣にすると子どもの脳の発達を増進させることを、東北大学加齢医学研究所の研究グループが証明しました。
・・・MRI (磁気共鳴画像法)を使つて脳を測定し、その3年後の脳形態の変化と の関係を調べました。その結果、言語中枢をつなぐ神経線維や後頭葉と側頭葉、後頭葉と前頭葉をつなぐ主要な神経線維が揃って走行している度合いと読書習慣の強さに関係があることを発見したのです。また、読書習慣の強さは、神経線維の揃い具合の発達や言語性知能の向上とも大きく関係していることが分かりました。したがって、強い読書習慣を持つ子どもは、 言語能力に関係する神経をたくさん使い、連絡 が密になることから、言語能力に関係する領域 の神経走行に変化が生じたと考えられます。
(川島隆太教授監修「やってはいけない脳の習慣」(青春新書)より抜粋)